Lac探偵事務所です。
本日も宜しくお願い致します。
少し堅苦しい探偵論が続いたので、今回は探偵を題材とした映画やドラマに関して触れたいと思います。
1.探偵ジャンルの起源
①文学における探偵の誕生
探偵キャラクターは、19世紀の文学作品に端を発します。
最も有名なのは、エドガー・アラン・ポーだろう。
1841年に発表した短編『モルグ街の殺人』に登場するオーギュスト・デュパン。
彼が最初の探偵として多くの後続作品に影響を与えたといえるかも知れない。
その後、コナン・ドイルのシャーロック・ホームズが1887年に登場し、推理小説の黄金時代を迎えます。
シャーロックホームズの名前は名探偵の代名詞となっており、日本の推理小説や探偵映画にも大きな影響を与えているので、その名を知っている人も多いでしょう。
②映画への進出
探偵キャラクターはやがて映像の世界へと進出します。
1910年代にはサイレント映画としてシャーロック・ホームズ映画が登場。
1920年代にはアメリカでフィリップ・マーロウのようなハードボイルド探偵も映画に登場し始めました。
日本のクールな名探偵像はフィリップマーロウをイメージしたものが多いような気がする。
2.フィルム・ノワール(犯罪映画)
1940年代のアメリカでは、「フィルム・ノワール」と呼ばれる映画ジャンルが誕生します。
ハードボイルド小説を映像化した作品が多く、暗いトーン、強烈なコントラスト、道徳的に曖昧なキャラクターが特徴です。代表作としては、ハンフリー・ボガート主演の『マルタの鷹』(1941年)や『三つ数えろ』(1946年)が挙げられます。
この時期には、探偵フィリップ・マーロウやサム・スペードといったキャラクターが象徴的な存在となり、彼らは冷静沈着でタフな探偵像を作り上げました。
彼らの鋭い観察力と現実主義的なキャラクターは、探偵映画において非常に重要な役割を果たしました。
3. クラシック探偵の再評価の時代
シャーロック・ホームズとエルキュール・ポワロ
過激でクールは探偵映画隆盛の時代から50年代に入ると再び古典的な探偵キャラクターが映画やテレビに登場する。
シャーロック・ホームズのリバイバルや、アガサ・クリスティーのエルキュール・ポワロが映像作品で取り上げられる機会が増えました。
特にエルキュール・ポワロは『オリエント急行殺人事件』(1974年)などの映画で人気を博した。
この作品は日本でも人気で、三谷幸喜もドラマで日本版を作っている。
この時代、テレビが普及する。
テレビの隆盛によって、探偵ドラマがテレビシリーズとして人気を集めるようになる。1950年代には『ペリー・メイスン』が法廷と探偵ものをミックスしたドラマとして成功し、その後も『刑事コロンボ』(1968年)や『探偵マイク・ハマー』(1958年)など刑事が名探偵となるものが続く。
これが日本の刑事推理ドラマの礎になる。
4.探偵ドラマの黄金期
日本では1970年代から1980年代にかけて、テレビドラマは探偵キャラクターが出てくる。『古畑任三郎』(1994年)のように、ユーモラスで個性的なキャラクターが登場し、視聴者の心をつかみ人気を博した。
また、『刑事コロンボ』のように犯人を早い段階で視聴者に提示し、その後の心理戦やトリック解明に焦点を当てる形式も人気となった。
映画においては、1970年代以降、ハードボイルドの厳格さに代わり、よりユーモラスでエンターテインメント性の高い探偵映画が増えました。『ピンク・パンサー』シリーズはその典型例で、探偵ものにコメディ要素を取り入れた作品として成功しました。
5.現代の探偵もの
2000年代に入ると、科学捜査を強調した『CSI: 科学捜査班』シリーズが爆発的な人気を得ました。伝統的な推理小説的な探偵キャラクターに代わり、科学的な証拠やテクノロジーを駆使する現代的な探偵が登場します。
また国際化の中、探偵ドラマは国際的に広がり、日本の『名探偵コナン』や、イギリスの『シャーロック』(2010年)など、世界中で多様な探偵キャラクターが愛されるようになりました。
これらの作品は、伝統的な探偵像にモダンな要素やスリリングな展開を加え、古典的な探偵ファンにも新しい視聴者層にもアピールしています。
6.未来の探偵もの
探偵映画やドラマは、時代とともに進化し続け、古典的な要素を保ちながらも新しい技術やテーマを取り入れている。
未来の探偵ものは更に多様化し、AIやサイバー犯罪といった現代的な要素が探偵の世界に組み込まれていくだろう。
コメント